ふるさとの原風景が広がる
「奥播磨かかしの里」

三寒四温の候、うっすら雪化粧の
ふるさとかかしを訪ねました。

奥播磨かかしの里は、安富町関地区にあります。
過疎化や高齢化が進んだ集落の村おこしとして、約130体のかかし達が集落内の様々な場所に佇み昔の暮らしを再現しています。

 

”ふるさとかかし”と呼ばれるそのかかし達は、田畑に立てられた一般的なかかしとは異なり、背格好は人間そっくりで豊かな表情が特徴です。
今回はかかし製作者の岡上正人さんにお話を伺いました。

奥播磨かかしの里の始まりは2011年のこと。
そのきっかけとなったのは、岡上さんが会社員時代に訪れた徳島県三好市東祖谷で見た人間そっくりなかかし達でした。
その時に「郷里の関地区なら”かかしの里”として村おこしができる!」と直感されたそうです。それからは、独学でかかしの材料選びや構造など、試行錯誤を重ねて現在の製作方法に辿り着きました。

奥播磨かかしの里の入り口。
里山や古民家を背景に佇むかかし達。この景観が郷愁を誘います。

 

「奥播磨かかしの里のコンセプトは、かかしで日本のふるさとの原風景を再現することです。集落内の古民家や小屋、畑など置く場所に合わせてイメージを膨らませ、かかしを製作しています。お越しを頂いた方々にも『遠い昔を思い出す』『心が癒される』と喜んで頂いています」と岡上さんがお話ししてくれました。

以前は集落の倉庫だった場所を活用したかかしの教室。
子供達ひとりひとりの表情や格好がとてもコミカル。

古民家を活用したふるさとかかしギャラリー。
かかし家族の団らんの様子が心を和ませてくれます。

 

取材時の2月はかかしの里のひな祭りが開催中で、ひな祭り仕様になっており華やかな世界が広がっていました。

縁側ではかかしの住人達の井戸端会議の様子を見ることができます。

集落内のメインストリート沿いでもかかし達の様々な様子を見ることができます。

 

こちらは、荷車を引く老夫婦かかし。
思わず声をかけたくなります。

バス停でバスを待つおばあさんかかし二人組。
話し声が聞こえてきそうです。

木登りをする少年かかし達。
コロンとした小さい体がなんとも可愛らしい。

岡上さんのかかし製作の様子を見学させて頂きました。

 

写真は岡上さんの実家横にあるふるさとかかし工房。
ここで多くのかかし達が生み出されています。
工房の軒先にも沢山のかかし達が並んでいました。

かかし製作をする岡上さん。
この日は、子供のかかしを製作中で骨組みに新聞紙を取り付ける作業をされていました。

工房の壁面には、ずらりと並ぶかかしの顔。
よく見ると老若男女様々な顔がありました。

製作途中のかかし。かかし製作はまず頭部(顔)を作り、これに胴体や手足の骨組みとなる木材や針金を取り付け、その骨組みに新聞紙で肉付けをします。そして、ラップやテープで補強と防水加工が施され、最後に洋服を着せます。かかし1体が完成するまでに4〜5日はかかるそう。

 

「かかし製作で心掛けていることは、”面倒でも手抜きはしない”という事です。特に顔を作るときは、目や眉毛、口などの位置が数ミリ違うだけで表情が変わってくるので、まち針で何度もパーツを微調整しながら縫い付けて、表情にこだわって製作をしています」と岡上さんがお話ししてくれました。

奥播磨かかしの里のかかし達は、集落内の常設展示はもちろんのこと兵庫県内外の様々な公共施設や店舗に約210体を設置、イベント等での貸出用に約120体を保管し地域振興やPR、人々の交流にも一役買ってきました。

 

写真は2021年11月に開催された第11回ふるさとかかしサミットの様子。

神姫バスによる”かかしバス”の展示。

車内には沢山のかかし達が乗車していました。

夢前町で開催された菜の花プロジェクトでの祈願祭の様子。
(2021年2月)

京都市・下京区で開催された松原京極かかし商店街の様子。
(2020年12月)
2021年10月から始まった日本旅行アメリカとの提携による海外からのかかしサポートプロジェクトのサポーター登録かかし達。

ズラリと並ぶ観光バス。
都会からのバスツアーもやってくるようになったそうです。
[写真提供:岡上正人氏]

「当初は、見に来られた方々に喜んでもらえることが嬉しく、少しでも集落に賑わいをという気持ちでした。しかし、最近ではそれに加えて様々なイベントやプロジェクトを通してかかしの里へ何度も足を運んでもらえるようリピーターを増やす工夫をしたり、街に住む人や企業・団体との交流をすることで、賑わいづくりからもう一歩進んだ活動をしていきたいと思っています」と岡上さんが語ってくれました。