木のぬくもりとこだわりのピザ
「尾の花キャビン」
小林龍三さん・優子さん

安富町末広にて笑顔あふれるピザ屋のご夫婦を訪ねました。

県道430号線を北上していくと右手に緑の屋根の可愛らしいログハウスが見えてきます。 
安富町末広にある「尾の花キャビン」は木の温もりとアットホームな雰囲気が魅力的な安富町で唯一のピザ屋さんです。
店主の小林龍三さん(69)は退職後、妻の優子さんと共に安富町にUターン。幼い頃に自らが植林した杉や檜を伐採・集材・加工をして7年の歳月をかけ独学でログハウスを建てました。
その後、2019年2月にお店をオープン。店主夫妻の気さくな人柄と共に、地域の方はもちろん遠方のお客様にも親しまれています。
「お店をオープンしたことで食の楽しさや有り難さをより多くの方と共有できるようになった。何よりも人と人との繋がりが出来た事がとても嬉しい」と龍三さんと優子さんが語ってくれました。
店内は木の温もりを存分に感じられる空間です。
色々な形のテーブルセット。窓辺に置かれた多肉植物などアッ
トホームな空間が和ませてくれます。
冬場には薪ストーブが稼働し、じんわりと体が温まります。

感染症対策もしっかり講じられており、天井から吊り下げられたパーテーションは龍三さんの手作りのものだそう。

テーブルスペースの反対側にはピアノやドラムセット、簡単なマイク設備などが備わったライブスペースもあります。
時折ここでライブも開催されるそうです。
お店のすぐ横に設置されている薪窯オーブンは伐採した木々と同じ山から運び下ろした土を練り、手作りしたアースオーブンです。表面に貼り付けられた色とりどり、様々な形のタイル飾りがなんとも可愛らしい。
ここからは息ぴったりなお二人のピザ作りを見学!
ピザを焼くのに適した温度は250°〜300°だそうで、薪を焚べ窯の温度を調整する龍三さん。

一方で、店内では優子さんがピザのトッピング作業をしています。寝かせておいた生地を伸ばし、特製のソースを塗ります。
その上にベーコンやチーズなどの具材を手際よく重ねていきます。

トッピング作業が完了したら、オーブンの前で構えている龍三さんにピザをバトンタッチ。
ピザを置く位置や火加減を見ながら、絶妙なタイミングで焼いていきます。
ピザ生地の縁がプクッと膨らみ、グツグツと具材が焼けている様子。
ピザ生地に綺麗な焼き目が付くように火床の素材選びは何度も試行錯誤を繰り返したそう。
ダルメシアンドットと呼ばれる、水玉の焦げ目が出来たら完成!
とっても美味しそうです。
アースオーブンで焼かれたピザは外はカリッ、中はモチッとした食感が特徴です。尾の花キャビンでは定番のマルゲリータや店主夫妻のアイデアが詰まったおまかせピザなど8種類のピザが楽しめます。
“チーズたっぷりフレッシュ野菜” のピザは、ほんのり甘いピザ生地とシャキシャキ野菜の食感が相性抜群。

こちらはベーコンとサラミのピザ。

ピザを乗せている木製プレートは、伐採した杉の木で作製した尾の花キャビンのオリジナルのもの。

また「このピザが食べたくてピザ窯を作った!」と店主夫妻が話すほどおすすめなのが ”クワトロフォルマッジ” 。4種のチーズとメープルシロップの甘じょっぱい味がクセになる一品です。
メープルシロップをたっぷりかけて頂きます。
ドリンクメニューも豊富でこれからの季節は爽やかな香りのゆずソーダがおすすめ。

その他にアースオーブンで自家焙煎&オリジナルブレンドをしたコーヒーは食後のひとときにピッタリです。

「子供の頃しんどかったのは、植林したあと草刈りや枝打ちなどの手入れをするとき」と思い出話をしながら、ご自身の山を案内してくれた龍三さん。

山で木を切り、道を付けて運び出すところから始めたという壮大なログハウスの建築。「今は、この山の木からログハウスを建てることが出来て達成感でいっぱい」と笑顔で話してくれました。

山の麓の作業小屋にはアースオーブンに使う薪が沢山!
練習で建てたというログハウス第1号。練習とは思えないほど立派。
整然と並んだ沢山の工具。

春も深まり桜若葉がみずみずしい季節、安富町末広にある「尾の花キャビン」さんを訪ねました。木の温もりと店主夫妻の気さくな人柄がホッと心を和ませてくれるお店でした。今回の取材では、お二人のこだわりと丁寧な仕事ぶりを拝見。暮らしを楽しみながら、二人で息を合わせていきいきとお仕事をされる姿を見て、田舎ならではの人生の楽しみ方を垣間見たように思います。お二人の瞳の輝きと楽しそうに話される表情が印象的でした。