安富町唯一の酒蔵
「下村酒造店」

酒造り真っ盛りの歳末、
手造りの味を守る安富町の酒蔵を訪ねました。

安志加茂神社の参道の程近くにある下村酒造店は明治17年創業、130余年の歴史をもつ安富町で唯一の造り酒屋です。

 

機械化や大量生産を行わず、伝統の製法で酒造りをされています。
今回は7代目社長の下村元基さんにお話を伺いました。

 

下村酒造店の代名詞ともいえる純米酒『奥播磨』。
”手造りに秀でる技はなし”の家訓のもと4人の蔵人によって醸されています。飲みごたえがあり、しっかりとしたお米の旨味を味わえるのが特徴。

「奥播磨の酒造りに使うお米の6〜7割は安富町産の兵庫夢錦を使用しています。このお米は酒蔵から車で5分程の場所にある吉田農場さんで栽培されたもので、田植えや稲刈りなどの農繁期には私も田んぼに行き成長を見守っています。また仕込に使う水は林田川の伏流水です。自然豊かな安富町で育ったお米と水、素材に愛着をもって酒造りをしています」と下村社長が語ってくれました。

 

写真は酒蔵に隣接する直売所。
積まれた奥播磨の酒樽と橙色の店頭幕が目印です。

直売所内にはお酒が所狭しと並んでいます。
常時7種類の他に季節商品が2種類と種類も豊富です。
贈答用の箱に入ったものもあり、直売所から全国発送もできます。

奥播磨の酒粕も販売されています。
「この酒粕も人気商品のひとつです」と下村社長。

ハチマキをした蔵人かかしの”はり造”も新酒販売の接客に一役かっていました。

\酒蔵内の様子をご紹介。下村社長に案内して頂きました/

先ずは、1階の機械が並ぶエリア。
お米を蒸す大きな窯と蒸し上がったお米を撹拌する機械がありました。

蒸し上がったお米は天井から吊るされたリフトで窯から撹拌する機械まで運ばれます。

 

「この機械の下から林田川の伏流水を汲み上げて使っています」と下村社長が教えてくれました。

お湯が沸く大きな羽釜。
酒作りの様々な場面で使用するお湯をここで沸かしているそう。
暖気樽(だきだる)と呼ばれる道具。
中にお湯を入れたり、水を入れたりしてタンクに沈め温度管理をする際に使用したり、水やお湯を運んだりするときにも使用する万能な道具なのだそう。
麹のなんともいえない良い香りがいっぱいの麹室。
真ん中に見える毛布の中には仕込中の麹が入っています。
温度計が差し込まれた麹。
麹室の中は通気孔やファンが取り付けられ温度や湿度が徹底管理されていました。
次は酒蔵の2階へ。
「昭和初期に一度リフォームをしたそうですが、創業当時のままの場所も多く残っています」と下村社長。

天井に取付けられた木製の大きな荷上げ滑車。
現在は電動になっているそうですが、昔はこの木製の滑車で荷物を2階へ上げていたそうです。

酒蔵2階の床には沢山の四角い穴が空いています。
1階にあるタンクに材料を投入する際には、床に空いた穴から長い筒を通して材料を流し込むそうです。
2階奥の倉庫。
奥まで続く太い梁。
近くで見るとより一層迫力がありました。
こちらは、昔使われていた暖気樽。
現在は金属製となっていますが、以前は木製の樽が使われていたそうです。
創業当時からある土壁。
下村酒造店の歴史を感じました。
1階に戻り、仕込み中の大きなタンクが並ぶエリアを見学させて頂きました。
取材をさせて頂いた12月は酒造りの最盛期。
タンクの中を覗かせてもらうと、もろみがブクブクと発酵していました。
こちらは、もろみを絞っている様子。
下村酒造店では昔ながらの佐瀬式搾り機を使用されているそうです。
「丸一日以上かけてゆっくりと搾ることでお米本来の味を感じることができるお酒になります」と下村社長が教えてくれました。
搾り機から出てきた出来立てのお酒。
ふわっと甘くふくよかな香りが漂っていました。
ずらりとタンクが並ぶ酒蔵らしい光景。

\こだわりの地酒 『奥播磨』おすすめ3選/

一口に”奥播磨”といっても様々な種類があることをご存知ですか?
ここからは、下村社長に厳選して頂いたイチオシのお酒を3つご紹介。

純米 おりがらみ 生

全量、安富町産兵庫夢錦を使用。うっすらと”おり”が絡み芳醇な香り。新酒ならではの爽やかでフルーティーな甘みが◎
720ml:1,690円(税込)

※毎年12月発売 数量限定

純米吟醸 芳醇辛口 おりがらみ 生

おりがらみ特有のなめらかな口当たり、旨味たっぷりでスッキリとした後味です。辛口が苦手な人にもオススメの酒。
720ml:1,810円(税込)

※毎年12月発売 数量限定

山廃純米スタンダード

山廃仕込らしい、スッキリとした酸味と濃厚な旨味。冷でも旨く燗ならもっと味わい深くなるお酒です。
720ml:1,425円(税込)